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前回の記事の続きをお伝えさせて頂きたいと思います。

このキャリアデザインクラスは大学1年生から3年生まで全学部の学生を対象としたクラスです。殆どの学生の受講動機がこれから控えている進路選択、就職活動に不安を抱えたことによります。『何が自分に向いている仕事なのかを知りたい』、『就職活動が不安で仕方ないが何から始めれば良いのかわからず教えてほしい』という実施時期の春という時点で既に不安を抱えていることには、彼らにとっての進路選択がいかに学生時代の中でウエイトを占めるものだということが改めてわかります。

しかしこのクラスでは、いわゆる就活コンテンツは実施しません。講師である私からミッションを提示しそれに対してグループで活動を行います。当然、このプログラムのねらいや身に付く力の提示は行います。
ミッション提示時は、学生は戸惑いながらもグループのメンバーとなった以上、3ヶ月間やりきらないといけない、というどちらかというと責任感でスタートします。
しかし受講動機として掲げた自身の課題へすぐに答えが見いだせないもどかしさも同時に感じている状態です。
ですから最終回まで脱落せずに主体的に取り組んでもらうことが大事です。そこで
① グループにおける自分の役割をコミットする
② 毎回、リフレクションを個人とグループで実施する
③ プログラムを通して自分のいま現在、感じている『興味』や『適性』(これはあくまでも学生自身が感じているということ)を意識しながらそれらの変化を感じる
という3点をメインに仕掛けました。このプログラムを『やらされている』というスタンスではなく『自分のためにやっている』という意識をもつための仕掛けです。

先日、読んだ『「自分ごと」だと人は育つ』博報堂大学〔編〕日本経済新聞社にも次のようなことが書かれていました。

「自分ごと」とは・・・
① 仕事のオーナーシップを持ったうえでのアウトプット
② 未経験の仕事でも「やり遂げてみせる」という姿勢
③ 仕事に自分なりの意味を持って取り組む状態
④ 所属するチームに対する安心感や信頼感が前提としてある
P55より引用

まさにここでいう物事への『オーナーシップ』、『自分なりの意味を持つ』、『メンバーシップ』が該当します。
自分の役割をメンバーにコミットすることでやり遂げる必要が出てきます。また毎回のリフレクションを行うことで作業の進捗から何を次回はしなくてはならないのか、という認識をもつことで主体的に時間管理を含めて行動を起こさなくてはならなくなります。
初回に私が提示したミッションに取り組む以外にプログラムの約3か月間を通して次第にこちらが何度もアプローチをしなくても主体的に取り組む様子が伺うことが出来ました。特に自分が感じる『興味』についても行動を続けることで興味の対象が変化してきたり『適性』については、自分では向いていない、得意ではないと思っていたのだが、グループのメンバーからのフィードバックを受けて逆にポテンシャルを見出せたという感想も学生から出ました。

どのような取り組みであっても漫然と行うのか、もしくは何かしら意味を意識して取り組むのかでは、その後の成長や能力開発に大きな開きが出てくると思います。
就活時期に学生から『特に打ち込んだことや頑張ったことを記入するよう言われてもそんな特別なことをしたと思えることがない』という相談をよくされます。果たしてそうでしょうか?四六時中、何かを常に意識して取り組んでいる人が社会人を含めてどの位いるのでしょうか?学生であれば、日頃、行っている活動を再度、自分なりの意味づけや一つでも良いので何かテーマを持って取り組めばその活動は自分にとってとても大きな成長の場となるのではないかと思います。

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